ASPIREの支援を受け、2025年4月から7月の3ヶ月間フランス・グルノーブルのNéel研究所でインターンを行いました。私はこれまで、グラフェンなどの原子層物質を用いたスピントロニクスの研究を行っており、Néel研ではグラフェンとh-BNを接合した素子の作製と、高周波測定の手法を学びました。特に、受け入れ先であるChristopher Bäuerle先生が得意とする表面弾性波を用いた単電子ポンプを原子層物質の系でも行うための準備段階として、ゲート電圧による二層グラフェンの電気輸送特性の変調や、表面弾性波の照射によってグラフェン中に励起される音響電流の測定を中心に携わりました。
滞在中の実験では、ゲート電圧によって二層グラフェンのバンドギャップが開く様子を確認しました。さらに、二層グラフェンのキャリアの状態に応答する音響電流を観測することができました。これらの実験を進める上で、Christopher Bäuerle先生だけでなく、原子層接合の専門家であるAlexandre Assoulinesさんからもアドバイスを頂きました。それぞれの知見を組み合わせた多角的な議論に参加できたことは、今後の研究を進めるうえで大きな学びになりました。
また、インターン中は、毎週開催されるBäuerleグループのミーティングに参加しました。グループの学生にとって原子層物質は専門外だったにも関わらず、たくさんの質問をいただき良い議論をすることができました。自分の分野外の視点から質問をもらうことで、研究の新たな側面や課題に気付かされる貴重な機会でした。さらに、研究外でも、世界中から集まった多様なバックグラウンドを持つ学生との交流を通じて様々な文化や考え方に触れることができました。
3ヶ月の滞在でしたが、今回の経験は単に研究を進めるだけでなく、国際経験を積むうえでも大きな収穫となりました。このような機会を与えてくださったことに心から感謝いたします。
大阪大学理学研究科物理学専攻 D1 山口優陽 (YAMAGUCHI Yuhi)


